ニワトリとタマゴ 重箱の隅の戦い

重箱の隅をつつくような、どうでもよさそうな細かい話やネタ話。おもいついたら即暴走。

鶏というのは「肉」なのか?

肉屋のSS

TESV-SKYRIMというアメリカ産ゲームのSSです。別にゲームの話ではありません。このおっさん、町の一角の露店で肉屋している人なのですが、問題はこの文言です。

Tired of bread and stew? Had enough of fish and fowl? Treat yourself and your kin to a choice cut of steak or a tender rack of ribs!

パンとシチューにうんざりしていませんか?魚や鶏はもう飽きていませんか?あなたと家族にステーキややわらかいリブロースはいかがですか?

といったあたりでしょうか。これがものすごく気になります。重箱の隅です。

 「肉」を勧めるにあたっての比較対象について。「パンとシチュー」、「魚」、「鶏」が同列に置かれ、それに飽きたら「肉」を食え!という売り文句です。この同列に並んでいる3種を見てみます。ここで言うパンとシチューは、毎日食べている安価な食事といったニュアンスです多分世界観的に。「野菜」中心のスープと穀物としてのパンです。


言い換えると、「野菜、魚、鶏」に飽きたら「肉」を食え!と言っています。日常、私たちは主食である穀類を除いた場合、他の食べ物の大分類は「肉、魚、野菜」という3種類です。ですがこの肉屋の主張は、「肉、鶏、魚、野菜」の4種ということになります。鶏は鶏、肉ではない。と言っています。これはアメリカ産のゲームなので、アメリカではそういった認識なのでしょうか?

 

「肉、魚、野菜」か?それとも「肉、鶏、魚、野菜」か?

日本において「肉」というと、大抵は「牛、豚、鶏」の3種かと思います。この3種のうち1つでも扱っていないスーパーというのは、まず無いでしょう。ですが件の肉屋の主張では、「鶏」はこの括りから外れることになります。ステーキやリブロースといった赤身肉と、鶏は違うという話です。確かに大型哺乳類の赤身と鶏を比べると、別の食べ物のような気もします。かといって当然魚や野菜ではない訳です。

 

肉蓄と食鳥という定義

なんとなく雰囲気が違う、という気はしますが、肉の定義としてはどうなっているのか、調べて見ました。すると、

 

肉蓄

一般に家畜化された牛、豚、馬、山羊および綿羊を肉畜と呼ぶ。

食鳥

食用に供する家禽を食鳥と呼ぶ。一般的にニワトリ、アヒル、七面鳥を指すが、その他の家禽であっても食用に供する場合は食鳥と定義される。

 

なんと牛や豚と違って、鶏は別カテゴリのようです。また、「家畜」の中でも鳥類は特に「家禽」と呼ばれるとのことでした。(常識だったらすいません・・・初めて聞いた言葉でした)

 

団体についても調べて見ますと、

  • 日本食肉格付規格
  • 公益法人 日本食肉市場卸売協会

ともに牛と豚の取り扱い

 

  • 一般社団法人 日本食鳥協会

鶏の取り扱い

 

団体でも取り扱いが分かれていました。肉の定義としては、牛豚と鶏は全く別物のようです。

 

鶏はどこへ行く

赤身じゃないけど肉なのか?それとも鶏は鶏なのか?鶏について詳しく見てみます。


主に胸肉ともも肉のある鶏ですが、日本ではもも肉の人気が高く、値段も胸肉の倍以上します。ところがアメリカだとこれが逆で、胸肉が人気で価格が高く、もも肉は捨て値で取引されているようです。(日本の胸肉より安い模様)


日本でもも肉が好まれる理由は、鶏肉関連の企業や協会を見てみると、以下の理由のようでした。

  • 牛肉が高い影響もあり、赤身の消費が少ない。比較的安価で、かつ赤身のような脂肪を含んだ味の濃い、鶏もも肉が好まれる。

 

地鶏もありますし、必ずしも代替品では無いですが、赤身と同じく「肉」として扱っているため、脂肪分と味の濃い、「肉」としての面の強い、もも肉が人気という話です。


一方アメリカで胸肉が好まれる理由は、

  • 脂肪が少なく高タンパクでヘルシー。牛肉が安いので赤身が欲しければ牛肉を買う。

赤身の肉と同じものを鶏に求めていない、ということです。日本でもダイエット目的なら胸肉人気です。冒頭の肉屋の話の通り、日本人的な感覚での「肉」のカテゴリからは、ちょっと外れるみたいです。

 

ニーズ次第で「肉」っぽくも「魚」っぽくもなる鶏

 もも肉は、赤身のようないわゆる「肉」のカテゴリに近い気がします。から揚げでもローストでも、もも肉だと「肉食った!」って気になりませんか?日本での鶏に対するニーズです。

 

反面胸肉は、ちょっと魚っぽいかもしれません。マグロやカツオのオイル漬けで有名な「シーチキン」の名前の由来が、胸肉に似てるから、という所からも伺えます。肉屋の「魚と鶏に飽きてないか?」というのも納得です。さっぱりヘルシーな蛋白源。アメリカでの鶏に対するニーズです。


赤身の「肉」に近いの物なのか、赤身の「肉」ではない別の物なのか(魚的なのかもしれません)、求められている物の差異から、冒頭の肉屋の「肉」と「鶏」といった分類が出来たのかと思います。こういった認識の違いって、おもしろいです。

 

日本でもカテゴリを使い分けてる場合もある

「焼肉」といえば、普通赤身の肉でやりますよね。牛がメインでラムとか。豚はあまり人気無いかもですが。少なくとも「焼肉」に行って鶏メインということは無い訳です。

 

反面、鶏に限定した「焼鳥」があります。こちらは名前の通り鶏メインですね。両者かなり趣向が違います。なんとなく「肉」という括りにしつつも、こうやって日本人も、赤身と鶏は食べ方を分けている気がします。

 

カレーにはいっている「肉」は、どっちも肉

ごく個人的な所感なのですが。カレーの場合、牛、豚、鶏、どの肉が入っていても「肉」の入ったカレーとして、みんな満足するのでは?と思っています。肉入りカレー飲んでる(食べてる)って気になります。どうでしょうかね?

 

おまけ

牛、豚、鶏の出荷までにかかる日数と、体重1kg増やすのに何kgの餌が必要か、というデータです。一概に比較できませんが、やっぱり牛は大変そうです。

 

牛30ヶ月で700kg /10~11kg
豚190日で110kg /3~4kg
孵化22日生育55日で2.8k /2.2kg

 

ありがとうございました。

 

 

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