オーディオ機器の「ノイズ」の話です。
スピーカやヘッドフォンから、雑音が聞こえてきたこと無いでしょうか?無音状態だとかすかに聞こえるけど、再生中は気にならないよ!って人も多いでしょう。
しかし・・・
再生中にも耳障りな雑音が残る!
となると厳しいですね。
ピーー、ガーーー、スゴォーーーーー!!
みたいな訳のわからん音(擬音の方が意味不明かもですが)のせいで、音楽やTVも台無しです。
そこで対策の1つとして、
グランドループアイソレータ
が、よく紹介されてると思います。
※グラウンドループ、GNDループ等の表現もあるけど全部同じ
こんな感じの、途中に挟むやつ。
Amazon
これ安価でお手軽なんですけど、
効果が無かった!
という声もあるようです。
オカルトアイテムのごとき気休め扱いをされることもありますが、本来は非常に強力なノイズ対策性能を持っております。
・・・ならなんでオカルト扱いされんのよ!?って話なんですけども。
残念ながらこれは、
夢の万能ノイズ対策器ではない
から。つまりは、
対応できるノイズとできないノイズがある
ってことなんです。
花粉症で下痢止め飲んでも全く無意味
なのと一緒であります。症状に合わせて正しく処方。
そんな訳で枕が長くなりましたが、今回は、
グランドループアイソレータって何してるの?
ということを、紙芝居形式で説明してみたいと思います。
例えが少し適当ですが、構造イメージは掴めるかもしれません。
あるいは余計混乱するかもしれません。
現実のアンプ接続構成図
PCからのオーディオ出力を、アンプに繋ぐ例を想定します。アンプの先は、ヘッドフォンでもスピーカでも、お好みで。
PC-アンプ間に、グランドループアイソレータを挟みます。
紙芝居『残念ロボのオーディオ再生大冒険』
はじまりはじまり、題は適当です。
アンプ池とPC池
塀で囲まれた2つの「池」があります。「PC池」には「残念ロボ」が、「アンプ池」には「蓄音機」が浮いてます。
残念ロボの使命は、レコードを蓄音機で再生することです。
2つの池は「水路」で繋がってます。他の道はありません。
ここからおっさんボートでへいこらほーして、蓄音機へレッツラゴー!
PC池に棲む巨人
PC池には「巨人」どもが何体も棲みついております。アンプ池には棲んでません。
こいつら、寝てる時はさして害無いんですけども・・・
起きるとドチャクソ暴れます。PC池の水面は大波津波、えらいこっちゃです。
いざアンプ池へ
水路を抜け、アンプ池を目指します。巨人が居ないから安全な筈・・・と思いきや。
大波は、水路を抜けてアンプ池にも押し寄せます。巨人のあほー。
電源の違いによる電位差や、暴れたグランドの影響等により、グランド電流がPCからアンプに流入する「グランドループ」が起きます。
巨人棲んでいなくとも、てんやわんやのアンプ池。荒波にもまれ、必死で蓄音機を回します。きっと酷い音でしょう。切ないですね('_')
アンプにはPCほどグランドを揺らすデバイスは無いですが、グランドループが発生すると品質が低下してしまいます
物質転送システムでアンプ池を守れ!
アンプ池保全の為、水路に「物質転送システム」を取り付けました!ハイテクですね。
横から見た様子。レコード持った残念ロボだけワープするので、アンプ池に波が入ってきません。便利ですね。
PC池からアンプ池への水の流入(グランドループ)を、できないように絶縁(アイソレート)するので、「グランドループアイソレータ」です。トランスで磁束に変換します。
安全になったアンプ池
池に落ちた時、少しレコードに傷がつきました。尊い犠牲。穏やかな水面で、安定して蓄音機を回せます。物質転送システム万歳。めでたしめでたし。
グランドが安定する反面、トランスで電気>磁束>電気と信号を変換する為、程度の差はあれど音質劣化が発生してしまいます。
「物質転送システム」で防げない脅威
物質転送システムも万能ではありません。荒波は防いでくれますが、もし近くに誰か居ると・・・一緒にアンプ池に転送しちゃいます。
水面は穏やかですが、しぬほど雑音まみれですぬ。別の対策が要りそうです。
信号線に乗ったノイズもトランスを通過してしまう為、グランドループアイソレータではこれを除去することができません。別のノイズ対策が必要になります。
以上、少しでもイメージが掴めたなら幸いです。最後までありがとうございました!
以下補足です。もしよかったらどうぞ。
補足説明
少し専門的な感じのも、あるかも!
池の水
電流の例えです。流れや波等、過渡現象を考えるときは意外と「水」はしっくりきやすい例えな気がします。「空気」で例える人も居ますけど、目視が・・・(つД`)
水路
ケーブルの例えです。まあそのまんまな感じw
アンプ池の巨人
CPUやGPUの擬人化です。DDRメモリやチップセット等もありますが、やはりこの2つが2大巨頭。
PCの高速大電流デバイスの電源は、大量のパスコン(バイパスコンデンサ)を、位置やパターン幅等も厳密に決めて配置しますが、それでも尚リプルノイズを吸収しきれず、結構派手に暴れるです。なので付近のグランドはかなりdirtyな感じになってます。
例えば、マザーボードのオーディオIC。背面端子付近に実装すると、アナログ出力線を短くできる(信号ノイズを減らせる)反面、GPUのグランドノイズを多大に受ける可能性が高いです(グラボのPCIe端子にも近い為。僕のマザボのグランドループノイズは多分これが原因)。
逆に背面端子から遠いと、アナログ線が長くなる半面、グランドがあまり揺れない為、影響が少ないと思います。
物質転送システム
グランドループアイソレータの例えです。オーディオ信号を直接変換する為、トランスの性能次第で大きく音質劣化します。Amazonで売ってる1000円くらいのやつは、結構落ちると思います。
構造が簡単なので、秋月電子の昇圧キット用基板を使って自作しました。オーディオ用トランスなので、音質は格段に良い筈。
「物質転送システム」の元ネタは、丁度30年前のアニメ「モルダイバー」より。
IDA転(Intrude Dimention Area 転送system:いだてん)。
当時既にマイナー(失礼w)でしたけど、コンセプト的には面白く、時代が違ったら大化けしたポテンシャルがあったと思うので、惜しい作品でした。
キャプテン東京。ググっても出てこなかったのでLDジャケより('_')
ちなみにオーディオ信号を劣化させずにグランドを絶縁するには、USB音源とUSBアイソレータを使うのが良さそうですが、結構高価になると思います。音質にこだわる派はこっちのが良いかもですが、グラボ積んだPCで過剰に音質に拘るのは愚策かと。グランドに優しい構成で組みましょう。
オーディオ信号のノイズ
信号線に乗ったノイズはトランスを越えてしまう為、グランドループアイソレータではどうしようもありません。乗せないようにするのがそもそもは一番だと思います。どうにもならない時は、特定周波数だけ除去するような、別のフィルタ(ジャ〇アンなら母ちゃん)みたいなのが必要ですかね。