最近アンプが不調です。オーディオ用のプリメインアンプ。音を臨場感満点にしてくれるアレです。
このところ、こいつから
カッチンコ カッチンコ・・・
と、延々異音が鳴ってます。しかも、このカッチンコ音に合わせてスピーカやヘッドフォンの音も止まってしまうという有様で。
つまり、
カッチンコカッチンコ鳴り続ける上、聞いてる音がブツブツ切れる
ってことです。
鬱陶しいことこの上無い、オーディオ機器として終わってます。
で、暫くすると鳴りやむんですが・・・忘れた頃にまたカッチンコカッチンコ。もうストレスがマッハ。
とはいえ古いアンプでメーカ修理も期待できない故、自分で直すことにします。それなりに面倒ですけど、同様のお悩みの方は自己責任にてお試しくださいませ。
DENONの『PMA-S10IIIL』。DENONの社名が「デンオン」から「デノン」に変わった記念モデル。定価28万円でも、実売価格は結構早く下がった気が。
2001年モデルなので、随分使ってますね。
プリメインアンプの不調
音の正体は、リレーのスイッチング音。多分プリアンプ部の入力段のリレー。ほっといてもカチカチ鳴ってるんですが・・・入力セレクタのツマミを触るだけでも顕著に鳴ります。あからさまに接触不良な予感。セレクタのスイッチに問題がありそうです。
そんな訳で・・・アンプを解体します。
分解前の注意事項
身近すぎて感覚が麻痺しがちですが、
電気エネルギーで人はdeathっちゃうことあるんだよ!
ってことを常に忘れず作業しましょう。
あ、でも僕はデジタル回路屋なので、
アンプのどこに高圧チャージが溜まってるかとか知りませんw
アナログ系は素人と大差無いです、ハイ。電源もDC/DCしか作ったことないので、AC(直流電源)はろくすっぽ知りませぬ。
なので、ここに書いたことだけで100%安全だと思わないで頂きたく・・・w
絶対の条件として、コンセントの抜き忘れに注意。絶対抜いてください、マジやばいです。
ですが、それでも高圧チャージが溜まってるコンデンサはある筈です。見える範囲のは大抵平気だと思いますが(大した容量無いので)、
- あからさまにでかいコンデンサ
- AC電源周り(電源プラグの付近)
- トランス周り(S10IIILは封されてるので平気だと思いますが)
このあたりは触らない方がよいかなー、と。触らぬ神に祟りなし!
セレクタ基板の取り出し
いざ解体開始。まずは外装。
真鍮ネジ(14本)と、背面の鉄ネジ(4本)を外します。後ろに引っ張れば、昔のPC9801の板金みたいな感じで外れます(古すぎて知らねーよ、って?)
フロントパネル。ネジが上下4か所づつ。
セレクタのツマミ。穴にイモネジがあるので、六角棒レンチで。
ツマミの裏のナット。スイッチが固定されてるので、これも外します。
フロントパネルを外し、セレクタ基板とご対面。ALPS電気のロータリースイッチが見えますね。おそらくこれが接触不良起こしてる筈。
ロータリースイッチの取り外しと清掃
取り外したセレクタ基板。束線のコネクタには爪とか無いので、引っ張れば外れます。端子を損傷させないように注意。このタイプのは扱いが荒っぽいと、結構簡単に欠けます。
シンプルな二層基板。経年劣化によるハンダのクラックは無し。
奥のは日光眠り猫(2代目)。初代は茶色でしたが、高校の学園祭で床に落ちて木っ端みじんこ(なぜか部活のご神体扱いされてたw)。
日光行った友達がお土産に新しいのくれた懐かしい思い出。20年以上昔のことですけども。どうでもいいですね、すいませんすいません。
続きです。半田ゴテで、基板からスイッチを取ります。
こういうのはハンダを大量に盛り繋げて、コテ2本使って全部溶かすと基板から簡単に落ちてくれるんですが・・・
足が曲げられており、溶かすだけじゃ外れません。なので吸い取り線で取ることに。
吸い取り器は吸引力が高く、デジタル回路だと細いパターン(主に信号線)が剥離するリスクがある為、個人的にはあまり使う習慣が無いです。こういうスイッチはパターンも太くて安心なので、吸い取り器が適してるとは思いますが。
ハンダを吸い取り、ラジペンで足を戻したら、ロータリースイッチを取り外し。
市販品の基板をいじる際は、温度調節可能で出力高めのコテがあると圧倒的に楽。ベタパターンでも苦労しないです。2本あると更に作業はかどります。
スイッチ背面。3回路7接点ですね。内周にあるcommonの3pinは基板上で導通してるので、使い方としては1回路7接点と等価。汎用品に7接点は無いので、DENON仕向のカスタム品でしょう。
ちゃんと検討してないですが、汎用品のSRRMシリーズの1回路12接点を改造すれば使えるかもですね。秋葉原や通販で入手可能。ただしスイッチ自体が一周しちゃいますけど(汗)
鈴商で1回路7接点の取り扱いがあるようですが、commonの穴位置が合わない(上の写真の右下にある)為、ちょっと大変ですね。基板のシルクを削って曲げた足を半田付けorドリルで基板に穴を開ける(パターン的には多分平気)等。
外したスイッチをさらに分解。
楔状の板金側面を、軽くラジペンで潰せば外れます。潰しすぎると再度固定するのが困難になるので注意。
テスターで測った所、汚れで部分的にかなり抵抗値持ってました。やはり接触不良起こしてカチカチ鳴りまくってた訳ですぬ。
※すいません、この先の洗浄&再組立ての写真撮るの忘れました(汗)
洗浄用エタノールをつけた綿棒で掃除した所、テスターで抵抗値出なくなりました。ダメだったら少し研磨しようかと思ったんですが(サンドペーパーか金属磨き等)、これで平気そう。板バネ側の掃除も忘れずに。
接点復活剤は、こんな所で青錆出ると面倒すぎるんで止めときました。使うなら、念入りにふき取った方が良いかと。昔、テスターの電池BOXに軽い気持ちで使ったら、青錆まみれになってひどい目にw
終わったら元通りに組み立て&半田付け。
結果は・・・
完全復活!
リレーのカチカチ音が完全に無くなりました。セレクタを押しても大丈夫。接触不良が解消されたようです。ヤッター!
スイッチの組立向きが分からなくなった場合の対処。
3つのcommon端子と7つの接点があるので、スイッチの位置次第でいずれか1個が導通するような配置で組めばOK。緑の樹脂ごと板バネを回すことで、接点が切り替わります。
common端子は内側の3つ。基板上では導通するので、実際は1回路7接点な使い方。
(おまけ)アンプの清掃
せっかくバラしたので、中も掃除しておくことに。とはいえ床から160㎝あたりの高い位置に置いてたせいか、思ってたよりは綺麗。うっすら埃乗ってる位。
29kgの筐体を高い位置に載せるのは、結構大変ですが・・・w もう若くないし。
掃除ですが、プリアンプ部(上の青い基板)はともかく、パワーアンプ部は僕には訳わからんので、これ以上の分解はせずにエアダスターで埃飛ばすだけに。
念のため、ガスが溜まらないようにサーキュレータで扇ぎつつお掃除。あとは背面のRCA端子とSP端子も清掃。
以上で復活した次第です。まだまだ使い続ける予定!