ニワトリとタマゴ 重箱の隅の戦い

重箱の隅をつつくような、どうでもよさそうな細かい話やネタ話。おもいついたら即暴走。

雨の色って何色だろう?

 

水って何色なの?って思ったことありませんか?いや別にポエムとかじゃなくて、です。
答えを言ってしまえば、それは光が反射せずに透過するから「透明」なんだよ。ということですよね。大人はみんな知ってます。屈折や一部の反射はあれど、まあそれは置いておきましょう。
でも、小さな頃のくつみや少年は、「透明」が理解できない子でした。ずっと水を眺めている変な子です。
以下、変な子供の水色研究の話です。

雨の色って何色だろう?

 

水の色は本当に水色なのかという疑問

そんな重箱の隅をつつくような発見のルーツは、幼稚園の頃。そんな頃の記憶はほとんど無い訳だけど、これだけは比較的鮮明に覚えています。
なんか詩人っぽいように見えなくもないけど、4,5歳の頃の話ですので。子供は誰もが芸術家、とはよく言ったもので、この頃はまだ重箱の隅的発想ではなく、純粋な疑問だったと思います。


幼稚園でお絵かきの時間。池や水溜り、雨など、水を描くとき。だれもが選ぶ色が「水色」です。でも当時のくつみや君は思いました。「水ってこんな色してるのか?」って。
大人に聞いても、水の色は水色だよ。と、定型文が返ってくるだけです。

 

考えても始まらない事は、ひたすら観測してみる

蛇口から出る水、洗面器にためてみる水、鯉が泳いでる池の水、水たまり、雨。いろんな水を観察してるくつみや君でした。さぞ残念な子に見えたことでしょう。なんせ池の中にまで入っちゃうのですから。


お絵かきの時間になると、道路の水たまりを見たときは茶色、鯉の池を見たときは緑と、いろんな色のクレヨンで水を描いてみます。でも、どれも結果は不採用です。これじゃない!って。


とある午後、じっと雨を眺めていました。真上を向いて、目薬をさすように、雨粒が目に入るまで。ずぶ濡れになりながら観察です。ほんとに我ながらおバカな子です。しかしその苦労の結果として、ある結論にたどり着きました。

 

雨の色は銀色である つまり水は銀色で描けばいいのだ

 

観測結果を持ち帰り、実験開始

翌日の幼稚園のお絵かきの時間。昨日の発見の成果を試そうと、やる気満々のくつみや君です。ところがここで大きな問題が。銀色のクレヨンなんか無いよ!という現実です。現実は幼稚園児に対しても厳しいのです。


仕方ないので似たような色を探してみます。これまた色々実験した結果、グレーと白を使うことで決着しました。白のクレヨンとか、当時は使い道無いナンバー1でしたので、使い道を見つけて得意気でした。

 

論文発表、各方面で追試開始

 

大人から見れば、グレーと白で描いた雨や池が、とても再現性が高いとは思えないでしょう。しかし同年代の子は同じような目を持っている?のか、くつみや君の雨を真似る子が出てきました。もしかしたら、単に白のクレヨンを使うことが楽しかったのかも知れません。


別の子が、グレーと水色と白を混ぜてみたりと、バリエーションも豊かになってきました。今にして思うと、情報共有しながらアップデートを繰り返すという行為は、幼少期からやっているものなのですね。


くつみや君自身も、鯉の池の再現には、さらにどんな色がいるのか?とか、色々研究熱心でした。結果、このクラスの悪ガキ共、もとい子供たちは、様々な色の「水」を作っていきました。

 

異端は学会から追放される

 

やがて小学校にあがったくつみや君です。引越したので、幼稚園の頃の友達は誰も居ませんでした。変わり者だけど友達を作るのは早い子だったので、そこは無問題です。


図工で絵を描く時間がありました。くつみや君は幼稚園の頃の研究成果を持って、色々な水を再現してみます。くつみや君は得意気なのですが、周りの子は特に興味を示すことも無い様子です。幼稚園でも最初はみんなそうだったので、特に気にせず水を描きます。


が、ここで研究生命を絶たれる一大事が。先生です。小学校の担任の先生といえば、当時は絶対的な神です。機嫌を損ねたら大変です。担任の先生に意見しようものなら、即殴られる時代です。
そんな先生からの一言。

 

「くつみや君、水は水色で描きなさい。みんなそうしているでしょう?」

 

トップの一言で、くつみや君の水研究は終息となりました。もっとも、他に色々と興味が沸いてくる年頃なので、言われた本人も「まあいいか、水色で」くらいに考えて、長いものに巻かれてしまいました。


先生にとっては些細な一言、言われた方も特に気にしない程度のこと。フォーマットに沿った「型にはめる」方が良い場合と悪い場合の判断というのは、非常に難しいですね。でも、くつみやが些細なことに色々と目がいってしまう「重箱の隅」の始まりは、あの水研究だったのかもと思う今日この頃です。

 

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