「S○NYタイマー」という言葉、誰しも1度は聞いたことあると思います。
買った家電が1年経過直後に壊れる現象です。
なまじ保証が切れた途端に壊れるのでタチが悪いです。結構昔から使われている言葉ですが、最近ではVAI○やPlayStati○nといった製品での印象が強いかと思います。
残念生物の僕ですが、一応本業は電気系の基板屋です。パソコンのマザーボードとか。
タイマーは有るのか無いのか
よくあるS○NYタイマー検証記事でも言われてることですが、当然ながら
タイマー部品というものは存在しません。
仮にそんな物を実装したら、簡単に他社に解析されて企業としての存続自体が危険になります。そうでなくても危険なのにね。
つまり、何か他に1年ちょっとで破損する要因があるということになります。
※ トップの「S○NYタイマーIC」の絵はただの想像図です。
よく言われてるタイマーの正体について
- タバコやホコリで製品寿命が縮んだ
- 可動部品が多いから壊れやすい
- S○NYの設計が悪い
こんな風によく言われます。間違ってはいないと思いますが、最初の2つに関してはS○NYに限定されません。どこのメーカでも起こりうる問題です。
最後の設計が悪いという話に関しては、無いとは言えないと思いますが、そこまで器用に1年で壊す設計の悪さというものがあったなら、
貴重なノウハウとして業界で共有される財産
となること確実です。
S○NYタイマーの正体について、2つの可能性があると思っています。
製品数が多い故の「目立つ故障事例」
いわゆる数字のマジックです。テレビ、HDDレコーダ、ちょっと前まではパソコンも。スマホやカメラ、PlayStati○n。
とにかく製品数が半端ないです。
「家にS○NY製品が1つも無い」という人、あまり居ないんじゃないでしょうか。多分何かしら1個はあるかと。したがってS○NY製品の故障というものは非常に目立ちます。これが1年ちょいで起きた場合ともなれば、タイマー伝説誕生の十分な要因になるかと思います。
・・・とはいえ、これだけじゃ面白くないですよね?
もう1つ。ユーザーにも原因のあるソニータイマーについてです。
あまり気にされることのない「環境温度」
テレビやオーディオ、HDDレコーダ等。設置する環境温度を考えたことありますでしょうか?この環境温度というものが、
デジタル家電を破壊する大きな要因
となります。何を言っているかというと、図解します。
例えばHDDレコーダ(Blue-rayレコーダ)です。3つの温度を定義します。
室温:部屋の気温。
環境温度:レコーダの周囲の気温。自身の発熱の影響があります。
内部環境温度:レコーダの内部の気温。※ここでの温度は仮定とします。
メタルラックのような風通しの良い所に置いている場合は、室温=環境温度とみなせます。このときの内部環境温度が35℃だったとすると、
内部は周囲より+10℃温度が高くなる
ということになります。
通気性の悪いラックに入っている場合
こんな感じの木製のラックの場合。通気が悪いので、室温25℃に対し、レコーダ周辺の環境温度は35℃になっています。この温度も仮定ですが、この位上がる場合もあります。
この時の内部環境温度は、この35℃に対して、きっちり+10℃上昇します。つまり45℃ということです。大抵の家電は、
環境温度35℃が破壊に繋がらない限界温度です。
前述のように、室温とは異なることがポイントです。
即座に壊れることはあまり無いですが、この状況が長引くと少しずつ耐久性が削られたり、不具合が蓄積していきます。
フタまで閉められたラックの場合
こうなると環境温度35℃を突破してますので、非常に危険です。特にハードディスクは意外と耐熱温度が低く、ハードディスク本体の温度が50℃を超えた辺りから不具合が出始めるケースもあり、55℃を超えると破損リスクが一気に高まります。(それなりにあります、HDD50℃超えるケース。寿命がとても短くなります)
特約店などでもこういったフタ付きラック売ってますが、開発側の人間としては、できるだけやめたほうがいいと思える品目です。(僕はS○NYさんではないですが)
こういった熱による問題は、半年から1年半くらいで破壊に繋がるケースが多いです。ゲーム機とか非常に熱量の高い製品もあるので、S○NY製品の破損が目立つ要因にも繋がります。また、主観なのですがS○NY製品は、熱に対する余裕度が、他社よりちょっと少ない気がします。
これがS○NYタイマーの一番の原因と推定します。
説明書に、温度条件や、場合によっては設置条件(横や後ろを20cm空ける、とか)がありますので、できるだけこれを守ることが、タイマー発動を阻止することに繋がります。設置場所の問題って、難しいとは思いますけどね。
僕はS○NY製品は2桁の数使ってますが、1度もタイマー発動した経験有りません。10年たっても普通に動いてる物多いです。
ホコリ対策をしっかりと。冷却性能はどんどん下がる
オタクじゃない人は、分解掃除をすることは無いと思います。そもそも保証が切れるので。したがって、冷却に使っているファンやヒートシンク(冷却用の剣山みたいな鉄板)には清掃されることの無いホコリが蓄積されていきます。
これが結構曲者で、環境にもよりますが、1年程度で深刻な問題を引き起こすレベルでホコリが溜まる場合もあります。この対応策として密室に詰めてしまうと本末転倒なので、個人的にはできるだけ高い場所に置いておくのがいいと思います。
スマホカバーも注意が必要
スマホもそれなりに熱量があります。一概には言えないですが、ファー系のスマホカバーは非常に断熱性が高い為、熱によるトラブルの原因になる可能性があるかと思います。静電気もやばいです。妙に熱くなった等感じたときは、注意したほうがいいかもです。
本業系に近い話で、つい字数も増えてしまいました。いつもの電波記事よりは役に立つといいですが、どうでしょうか・・・ね?
ありがとうございました。