洋画に限らず外国映画を見るときは、字幕派の人と吹替派の人、それぞれ居ると思います。TV放送であれば、まあどっちでもいいか?ってノリかもですが。しかしながらお金払って映画館行く場合は、字幕上映と吹替上映両方あれば、必ずどちらかの選択に迫られます。付き合いで見に行くならともかく、自分で足を運んだ場合は、自分なりのポリシーでどちらか選ばねばなりません。皆様はどちらで見る派でしょうか?
言葉が解らない外国映画の音声の意味
私は字幕派です。TV放送でも吹替だとあまり見ないかも。BSプレミアムとか字幕放送多くてお気に入りです。でも別に英語得意な訳じゃないですよ。むしろ苦手です。ゆくりならまだしも、字幕無しで音声だけじゃ厳しいです。英語以外だったら、完璧無理です。それで何で吹替見ないの?といいますと、それなりに理由があります。
吹替もメリットがあるとは思います。字幕に視点移さずに映像に集中できるとか、家で何気なくTVつけてるときまで、字幕読んでられないとか。ですが、もしお気に入りの外国映画を吹替でしか見たこと無ければ、1度字幕をお勧めしたいです。
言っている言葉はわからないが 何を言っているかはわかっている
マンガ「ドリフターズ」の台詞です。またマンガかよ!?とか思った方すいません。でも結構好きです。関が原の敗走中に突如変な世界に飛ばされた、九州は薩摩の島津豊久。ある日その別世界の農村で、騎士武官の横暴で子供が殺されてしまいました。豊久はその武官を捕え、子供の死体の傍に運ぶ。そして村長に刀を差出し、「日本語」で、「お前達が仇を取らねばならぬ」と力説。言葉は全く通じないけど、意志は伝わり、村長と村人が仇を取る。このやり取りを、同じく飛ばされた織田信長が、こう表現した訳です。
私が字幕で外国映画を見る理由は、この一言につきます。「言葉はわからなくても、何を言っているかはわかる」から。アバウトな雰囲気というものではなく、動きに合わせた語意の強弱、流れの連続性。どれを取っても体で演じることから生まれている説得力があります。失礼ながら、吹替だとこの「体」と「言葉」のリンクが見えづらい気がします。同時通訳みたいな。吹替している方を軽視するつもりは無いですが、こういったポイントの再現が、かなり難しいように思えます。声が似ている似てないの問題じゃないです。「言っている言葉はわかるが 何を言っているかはわからない」になってしまうから。
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特攻野郎Aチームにみる字幕と吹替の差
また古いもの持ち出してきてすいません。しかも映画だけでなくドラマもですが。でも知名度あると思います。新作映画は2010年でしたし。原題「The A-Team」邦題「特攻野郎Aチーム」です。今見ても古臭さを感じず楽しめます。むしろシュールな演出も多かったり。シーズン1~5まで全部買いました(笑)
※日本国内にしては非常に安い価格のセットです(興味あるけど購入リンク踏みたくない方は検索してみてください。ちょっとした本1冊買うのと大差ないです)。
吹替の話の前にちょっとお付き合いください。
ベトナム戦争時、軍の命令で資金集めの為にハノイ銀行を襲撃。しかし軍からは反逆者として指名手配され、逃亡しながらも「弱きを助け強きを挫く」お助けヒーローをしているアクション作です。日本では羽佐間道夫のナレーションで、「ベトナムで慣らした俺達特攻野郎は・・・」のフレーズが有名かと。(若い方、もう知らなかったらすいません・・知合いは20代前半でも結構知ってましたので)ちなみに日本語放送だと名前が結構変わってました。
Aチームの主要メンバー
ジョン・スミス大佐
「ハンニバル」で日米同じです。ちなみに「ジョン・スミス」というのは、日本でいうところの「山田太郎」的な名前で、どうみても偽名だろ!というニュアンス。
テンプルトン・ペック中尉
日本だと「フェイス」、オリジナルは「フェイスマン」。偏差です。
ボスコ・アルバート・バラカス軍曹
日本だと「コング」、オリジナルはBad Attitudeな「B.A.」。
H.M.マードック大尉
日本だと「クレイジーモンキー」、オリジナルはそのまま「マードック」。たまにH.M.を文字ってか「ハウリングマッド」と呼ばれたり。階級だけならハンニバルの次に偉いんですね(笑)
あまりに違う、字幕オリジナル音声と吹替の差
吹替の話に戻ります。このマードック、精神病院を出たり入ったりしているので、「狂人なのかただの変人なのかわからない」という設定です。が、吹替えで見ていると、「頭のおかしいフリをしている変人」にしか見えません。明るい性格です。そんなマードックにいつも絡むB.A.が、短気な奴に見えてきます。
ところが・・・字幕オリジナル音声で見ますと。「どう見てもイカレてる人」なんです。これじゃ一緒にいるB.A.が神経すり減らすのも理解できます。こっちの頭がおかしくなりそうです。全く違う人物像なんですね。富山敬さんが悪い訳ではなく、この異様な存在感は、吹替では再現不能かと思います。陽気なお馬鹿に見えた吹替え版。一方、物静かだったり狂ってたり、時には怖かったりの字幕オリジナル版。他のキャストに関しても、マードックほどでは無いですが、結構印象が変わります。
吹替えで得るものと失うもの
吹替版だと、言語としての情報が明瞭になる反面、言葉とリンクしている他の多くの情報が削がれている気がします。ちょっとした掛け合いでも、吹替と字幕で見比べると、伝わる情報量の違いの差が歴然です。
冒頭のように吹替のメリットもあるとは思うのですが。字幕を追う、という作業のトレードオフに、オリジナル音声の情報量を消してしまうのは、いささか勿体無い気がします。そんな訳で、私は面倒でも字幕を追って映画を見る次第であります。
映画「特攻野郎Aチーム」の新キャストのハマり具合
2010年の映画「特攻野郎Aチーム」は、すべて新キャストで製作されました。字幕オリジナル音声で過去のAチームを見てきた私には、あまりのキャストのハマりっぷりに驚きました。ハンニバルが葉巻を取り出すタイミングや所作、「パイロットである彼なら、やらなかった過去作の方が悪い!」と思えるほどにハマってるマードックの奇行(伏せますが、ほんとハマってます)等。反面、過去作を日本語音声でしか見なかった人には、ちょっと違和感あるかもしれません。
シナリオは少し後半が残念ですが、差し引いても「Aチーム」としての出来は秀逸ですね。新ストーリーなのでベトナムではなくイラクが開始になってます。B.A.が飛行機嫌いになった原因を含め、Aチーム結成から始まるので面白いです。
あと、これだけ言っておいて何ですが、日本語音声の楽しみ方もあります。日本語だと羽佐間道夫のあのナレーションが、一部あります(笑)吹替放送があった故の楽しみでしょうか。時間があればほかのタイトルも「両方」見て楽しみたいものです。
ありがとうございました。
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