「クリエイター」という単語から、何を想像しますかね。僕は『娯楽分野の生産者』を連想します。映画、小説、マンガ、アニメ、ゲームとか。
人を楽しませる創造力
このスキル持ってる人はほんとすごい、僕は超苦手。(このクソブログが証明してます)
一方「クリエイターを自称する人」だったら、どうですかね。
浮かんだのは・・・
意識高い系(w)
山ほど居るであろう、自称クリエイターw。いずれも胡散臭い、インチキくさくて嘘くさいと思うのは・・・僕だけ?
「クリエイター」という言葉に、他者からの評価的意味合いを感じる為か、自称するとバカ丸出しに聞こえます。あ、僕はそう思うってだけですよ?
ところで僕は、PCヲタクな趣味をキッカケに、PCや組込み基板のデジタル回路設計屋になった口です。僕の中での「クリエイター」像とは違いますが、この業種で「クリエイター」を自称したい人も居ます。
昔に遭遇した、そんな「自称クリエイター」のお話です。
好きじゃないけどPC開発してる人
この業種ってPCヲタクばっかりな印象かもですが・・・僕の知る範囲ではPCヲタクのハード屋は少数で、仕事じゃなければ触りたくも無い、という人が大半です。
好きでPC開発してる人
ネットでもPC系ハード屋さんの話をあまり見ないので、やっぱ業界全体でも少ないと思います。
休日に秋葉原でジャンク漁ってニヤニヤしてる変質者も、居るには居ます。
「クリエイター(PC開発関係者)」を自称したいだけの人
昔こんなことがありました。ちょっとお話仕立てで。
未知との遭遇
小さなPC基板の設計初期にあった僕は、採用する部品を検討していた。極めてコンパクトに作る条件の下、最適な部品を選んでいく。
CPU、メモリ、チップセット、DC/DC、FET、水晶発振器・・・etc。1つの基板に必要な部品の数は、数百に上る。しかし今回は要求性能が低かったことも幸いし、程なく部品表の空欄を埋め終わる。
一息ついた所で、ふと背後に気配を感じた。振り返ると、PCヲタ先輩が立っている。僕と同じく、趣味が高じて仕事になった、数少ない1人。
興味深そうに部品表を覗きこんだ彼は、ひと言呟いた。
どうやら、僕の選定したCPUが気に入らないようだ。何がマズい?
・・・考える。
確かにちょっと古いが、仕様には十分事足りる。何より安上がりで省エネ。量産前に数が揃うことも、代理店に保証された。
いいこと尽くめのベストチョイス。これ以上の最適解は無いと断言できる!
その旨伝えると、恐るべきアンサー襲来。
・・・はぁ!?
いやそりゃ速くないけど、仕様は満たしてるし。どういう意味だ?
悩んでると更に追加攻撃。
・・・Whaaaaaaats!!???
益々判らない。俺の頭が残念だからか!? それも紛れもない事実だが。
しばし問答の末、ようやく言葉の真意を理解した。
そう、PCヲタ先輩は、
PCヲタク目線でCPUを熱く語っただけ
だった・・・俺の時間を返せ。
これぞPCヲタクが開発に少ない理由。エンジニア目線で見るべき所を見られない。PCヲタクの趣味目線をやめられない。
馬鹿が戦車でやって来る
色々うるさいので丸投げを画策すると、意識高い系なご意見を賜った。全部ブーメランだけど。
チェックのワイシャツ着てる奴は皆こうなのか?、と疑いたくなる。
話をすると、さらに驚愕の事実を知らされた。PCヲタ先輩は・・・
デジタル回路設計ができなかった
つまり、彼の正体はPCパーツが好きな只のヲタクということになる。何しに会社来てるんだろうか・・・
上がってきた試作基板には興味津々なので、デバッグヘルプ専門係という謎ポジションに君臨してた。さすが意識高い。
家政婦は見た!
この人がなぜ開発に残ってるか不思議だったが、その疑問は後日氷解する。
ある夜の終電間際、駅前で電話中のPCヲタ先輩を発見。相手もヲタ友らしく、職場では見せない生き生きとした姿が眩しかった。
・・・これで理解した。彼はPC開発をしたいのではなく、
PC開発をしてる人になりたいだけ
なのだ、と。
作ることに興味は無く、作ってる人として持て囃されたい。PCヲタ友との会話では、さぞや承認欲求が満たされていることだろう。
まさにこれぞ
自称クリエイターの鏡
仕事の成果などどうでもいい、関係者を名乗れることこそが重要なんだよ、きっと。
明日に向って撃て!
そして・・・
PC基板を開発していた元クリエイター(w)
という肩書きのショップ店員に、魅力を感じたのかもしれない。今となっては真相は判らないけども。
人間的に悪い人じゃなかったので、元気でやってるといいな。
fin.